(1)KDDIとソフトバンクの投資と競争
KDDIとソフトバンクは、携帯電話市場ではauとソフトバンクモバイルが競合しており、両社の投資戦略にも大きく影響を及ぼしています。KDDIとソフトバンクは、携帯電話以外の通信事業も規模が大きく、巨大通信企業グループですので、政府調達の衛星携帯電話でも競合していることが分かります。
(2)ソフトバンクが政府調達に1円入札
KDDI衛星携帯を1円入札を行っていますが、産経新聞2013年3月18日が、ソフトバンクも1円入札 林野庁調達 KDDIに対抗と報じているので見てみましょう。
林野庁による衛星携帯電話の調達をめぐり、ソフトバンクグループが1円で入札していたことが17日までに分かった。KDDIが衛星携帯を1円入札していますが、ソフトバンクも対抗して1円入札で政府調達に応札しているようですね。
(3)大手通信事業者による安値入札
東日本大震災後、官公庁や企業などで非常時の通信確保手段として衛星携帯の需要が高まっている中、KDDIも1円で入札していたことが既に判明しており、大手通信事業者による極端な安値攻勢が市場競争をゆがめかねない事態となっている。KDDIやソフトバンクなどの大手通信事業者の1円入札の事業モデルについて考えると、企業体力の大企業ならではのビジネスモデルが浮かび上がります。
(4)KDDIとソフトバンクが1円入札で応札の理由と利益
KDDIとソフトバンクが1円入札をしたとしても、政府調達で落札したい理由について考えたいと思います。衛星携帯電話の事例以外でも、ITゼネコンが1円で入札するビジネスモデルに似ていると言えるのではないでしょうか。- アフターサービスによる利益。この場合は通信費用や利用料か
- 政府調達納入の実績評価により、次回入札で有利に
- 政府調達以外の省庁取引の獲得と情報入手ルートの確立
(5)KDDIは積極的に1円で落札
衛星携帯の政府調達では、KDDIが北海道、東北、関東の各森林管理局で昨年末から今年2月にかけて1円入札を繰り返して落札。
一方、ソフトバンクテレコムは、四国森林管理局の衛星携帯37台のうち30台の調達案件に1円で入札し、落札した。KDDIは積極的に1円入札を行っており、相次いで落札に成功、ソフトバンクがそれに追随する形のようですね。
- KDDI 北海道、東北、関東の各森林管理局で1円落札
- ソフトバンクテレコム 四国森林管理局の衛星携帯37台のうち30台を1円落札
(6)ソフトバンクは端末を実質0円で販売と主張
ソフトバンク側は「通常、通信費用から割り引く形とし、端末を実質0円で販売している」と説明している。ソフトバンクは端末を実質0円で販売と主張しており、通信費用や利用料で利益を得るビジネスモデルなのではないかと、管理人は推測しています。
(7)KDDIを公正取引委員会が調査の可能性
公正取引委員会の山本和史事務総長は2月27日の会見で、KDDIの1円入札について「不当廉売に該当するのではないかという問題も含め、独占禁止法上の問題になる場合は必要な調査を行っている」としている。KDDIの落札に対して、公正取引委員会が調査の可能性を示唆しています。KDDIやソフトバンクは、携帯電話市場ではドコモとシェアの差はかなりありますが、数兆円規模の大企業グループを形成しています。
KDDIとソフトバンクは、携帯電話市場だけでなく、衛星携帯の政府調達でも競合関係にあることは今後も注目ではないでしょうか。 スポンサードリンク